発電機設備の業務事例をご紹介します!
こんにちは、電気設計部門4年目の二ノ宮です。
今回は、防災設備の一つである発電機設備の業務事例をご紹介します。
私は昨年度、某市内小学校の発電機設備設計業務、本年度その工事監理業務に携わらせて頂きました。
発電機と言えば、名前は聞いたことがあるかとは思いますが、実際にどの様な時に使うか馴染みの無い方が多いと思います。
そこで今回は、実際の工事完成写真を交えて、発電機設備について説明したいと思います。
その前に今回の工事目的等について、簡単なQ&A形式で説明します。
Q1:そもそも発電機とはどの様なものか?
A1:皆さんが生活で使用する電気は通常、電力会社より供給を受けて使用していますが、この発電機は電力会社を介せずに、電気を作り供給することができます。
Q2:なぜ小学校に発電機が必要か?
A2:地震等の災害時に小学校体育館が避難場所として、指定されているためです。
Q3:発電機を設置することで、どんな利点があるか?
A3:災害時には電力会社からの供給が断たれ、停電状態となることが想定されますが、発電機を設置することで、体育館の照明器具やコンセント等が使用できるようになります。
Q4:発電機はどの程度、連続運転できるのか?
A4:今回、設置した発電機は燃料タンク満タン(62リットル)で約20時間連続運転ができます。また、燃料は灯油のため、一般家庭でも冬季に備えて保管されていることがあるため、災害時に持ち寄って、使用することもできます。
こちらの写真が、実際の工事完成写真になります。
1.【発電機本体】(左:外観 右:操作部)
発電機本体の周囲にはフェンスを設けているため、平時は入れないようになっています。また、児童が近くで遊んでいてもボール等が上面から入らないようにする等の工夫も行っています。写真右側は発電機の操作部分となります。操作する箇所、順番が表示されているので、どなたでも容易に操作できるようになっています。
2.【ケーブル収納箱】(左:外観 右:内観)
発電機近傍の体育館外壁等に取付ける鋼板製の箱になります。箱内は右側の写真のように発電機本体と接続するためのケーブルを巻き取って、収納しておく役割があります。災害時にはここからケーブルを取出し、発電機本体のコネクタと接続します。
3.【切替盤】(左:外観 右:内観)
通常は電力会社から、供給される電気(商用電源)を使用していますが、箱内のレバーを操作することで、電気の供給元を発電機(非常用電源)へと切り替えることができます。切替盤の表面には、「商用」と「非常用」の表示灯が付けられており、電気の供給状況について、確認することができます。
4.【電灯分電盤】(左:外観 右:内観)
体育館内の照明器具やコンセント等のブレーカーが盤内に納められています。発電機による電気の供給時は、体育内の使用できる照明器具やコンセント等に制限があるため、写真右側のように使用する箇所にシールを貼り付けて表示をしています。これにより、災害時にどのブレーカーをONにすべきかが分かるようになっています。
5.【その他】(左:操作手順書 右:照明スイッチ)
これまで紹介した発電機本体、ケーブル収納箱、切替盤、電灯分電盤の各機器内に写真左の操作手順書を入れてあるので、操作が容易に行えるようになっています。また、写真右のように体育館内のどの照明が点灯し、それに対応するスイッチがどの箇所かが、赤丸のシールで表示しています。
今回の設計・工事監理業務を通して、災害時の備えやそれに付随する設備についての重要性を再認識することができました。
地震等の自然災害を人が完全に防ぐことは不可能です。
しかしながら、災害による電力供給のストップ等の被害を技術的に減らすことは可能です。
このように、私達の設計業務が様々な観点から社会に貢献していると考えています。
以上、発電機設備の業務事例のご紹介でした。